研究概要 |
本研究課題は、奈良県を事例として、公共財の需要、生産、配達をめぐる一連の社会過程を明らかにしようとするものである。 本研究課題の申請時点では、平成23年度には、公共財の生産、配達の局面に着目し、それを担う地方自治体首長および幹部職員、地方議会議員、各種利益団体・住民組織役員といった地域リーダー層3000人を対象として質問紙調査を企画していた。しかしながら東日本大震災に伴う予算措置の遅れおよび奈良県南部水害に伴い、一度調査を断念したため、当該年度の後半に7割の経費が確定した段階で、公共財の需要の局面に焦点を変え、とくに子育て期の女性という公共財の最終需要者に対して、自治体の教育および児童福祉政策がもたらす間接的効果を測定することとした。 そこで、合併の有無・政策の類似性・地理的特性の観点から奈良県内7市町村を選び、末子年齢が0歳から12歳未満の子どもと同世帯に居住する女性を対象として、大規模郵送調査を実施した。調査期間は平成24年3月1日~14日であり、発送数は18地点3291票であり、有効回収数1038票、有効回収率31,9%を得た。調査項目は親族・友人ネットワーク、周囲からのサポート、労働・通勤時間、職場・家庭・地域における役割ストレーン、ディストレス,居住地評価、将来不安、家族の状況、本人と配偶者の属性(年齢、職業、教育、経済状況、居住年数)等であり、これらのうちの複数の被説明変数に与える自治体および都市システム上の位置の効果を分析する。
|