現時点では遠距離介護支援する企業は少なく、多くの労働者は有給休暇の使用や同僚の理解を得た上での勤務時間の調整などによって遠距離介護を実践している。そして、企業による遠距離介護支援を積極的に求めていこうという労働者側の意識や動きもまた、強くない。その原因として、労働者は実際に当事者になるまで、介護と仕事の両立について漠然とした不安しか持っておらず、当事者になる前の段階では労働者の明確なニーズとしては現れにくいことが挙げられる。今後、企業の人事戦略としての遠距離介護支援を充実させていくためには、企業側だけでなく、労働者に対しても、遠距離介護支援の必要性についての理解を促していく必要がある。
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