22年度は、前年度をふまえて、本格的な実査である。代表者の勤務校、分担者の勤務校にくわえて、研究協力者の勤務校、二クラスで、調査をおこなうことができた。できるかぎり、同じ回答者プールに数度にわたって、同様の調査をおこなった(延、10回程度)。回答者同士が「初対面」の時からデータをとる事も予定している。こうすることで、「まったく、ネットワークが無の状態から、いかにして、ネットが生成するのか」を把握できた。 首尾よくネットワークデータを収集できたので、分析もおこなった。まずは、ネット形成の要因を分析した。代表者のパイロット調査と同様、(同性の)友人・(異性の)恋人、が形成されるさいに、親の収入・資産が大きな影響をもっていることが追確認されつつある。それらの変数は、ネットタイの「継続」にも正の効果をもっているのかを確認できつつある。ネット構築後分析に関しても、Christakisらと同様、われわれは、「ネットワーク指標」以外の具体的タイ関係を重視して分析を継承した。当初の予想と異なって、いわゆるネットワーク指標、とくにボナチッチ中心性が大きな影響をもっていることが確認できた。ただし、上記の知見は、個々のフィールドにおいてであり、各フィールドを「ダミー変数」とした「統合データ」はまだ出来ていない。統合データベース作成後、分析を行い。内外学会での発表、査読付き学術誌に投稿する予定である。英文での論文執筆も予定している。以上が23年度の主要課題である。
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