研究概要 |
本研究の社会学的意義は以下である。「類が友を呼ぶ」のか「友が類になるのか」という一種のニワトリ卵問題に、実証的な回答をあたえる。われわれは、全くネットワークがない状態も含め、一つの同じ集団に対して、複数回ネットワークデータの収集をおこなう。こうすることによって、「ネットワークがなかったどのような属性をもつ個人間に,ネットワークタイが張られるのか(どのような「類」が「友」を呼ぶのか)」を実証的にあきらかにする。その一方で、ネットタイが「張られたあと」で、そのタイを「伝播」して個人のなんらかの属性(Christakis研究においては「肥満」)が共有化される様子も実証的に把握する。いわば「友が類になる」様子をみてとることができる。 メディア教育開発センター」が開発した「REAS(リアルタイム評価支援システム)」を利用した。REASは、メディア教育開発センターのサイトにアクセスすることで、どのような研究者でも、容易に、ウェブアンケートを構築できるシステムである。われわれは、本システムをつかい、あるクラス全体のホールネットワークデータならびに、他の通常の社会調査データを収集した。これを統計ソフトで分析した。 延10回程度、ネットワークデータを収集できた。まずは、ネット形成の要因を分析した。就活意識、使える金、階層意識、化粧代の類似が、友人が形成されるさいに、大きな影響をもっていることが確認された。ネット構築後分析に関しても、Christakisらと同様、われわれは、「ネットワーク指標」以外の具体的タイ関係を重視して分析を継承した。当初の予想と異なって、いわゆるネットワーク指標、とくにボナチッチ中心性が大きな影響をもっていることが確認できた。また、恋愛、髪の色、幸福感、英語学習意識の伝播が確認できた。
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