1.「研究目的」との関連 「社会的経済」が持つ、地域社会、地域経済、自治体運営に対する影響力を見るため、同経済と契約関係を深める自治体(代表的な州およびコムーネ)の諸政策と、そこにおける「社会的経済」の位置づけ、政策効果の測定事例等について資料収集、ヒアリング、分析を行った。 2.「実施計画」との関連 イタリアでの、経済的・社会的状況が対象的な二つの地域での現地調査から、以下のことが判明した。 (1) これまでのイタリア研究は、北東部イタリアや中部イタリアを「モデル」として描き、南部は北部を追随すべき存在として描かれてきた。しかし今回、北部とは異なる、しかしながら協同の構築にとって、重要と思われるファクターを確認できた。政治的、経済的な困難が大きい南部でこそ、市民が理性の力を信じながら動きつづけるには、市民相互の連帯や、その連帯の形成や強化を働きかける文化的主体(社会教育や大学)や職業的な専門家集団の存在が不可欠である。 (2)また、北東部イタリアにおける協同組合は、カトリック文化の影響下にある、ボランティア的要素の高い協同組合として語られてきた。しかし今回の訪問で、いわゆる「サードセクター論」で展開された中小企業経営者・・のアクターが、企業での経営的な仕事を退いた後、非営利部門で働くケースが増えているとと、それにともなって。ボランティアと公的資金への依存によって支えられてきた北東部イタリテの協向組合のあり方にも変化が現れ始めていること等が理解できた。625字
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