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2010 年度 実績報告書

イタリア社会的経済の、地域経済、地方行政及び地域自治に対する波及効果

研究課題

研究課題/領域番号 21530539
研究機関公立大学法人都留文科大学

研究代表者

田中 夏子  公立大学法人都留文科大学, 文学部, 教授 (30257505)

キーワード社会的経済 / イタリア / 社会的協同組合 / 社会的排除 / 社会的企業
研究概要

1.「研究目的」との関連
「社会的経済」が持つ、地域社会、地域経済、自治体運営に対する影響力を見るため、南部を対象として研究を実施した昨年に引き続き、本年度は北部を対象とし、同経済と契約関係を深める自治体(代表的な州およびコムーネ)の諸政策と、そこにおける「社会的経済」の位置づけ、政策効果の測定事例等について資料収集、ヒアリング、分析を行った。
2.「実施計画」との関連
本年度、対象とした地域は北東部イタリアである。特に、これまでも先進的な地域とされてきたエミリア・ロマーニャ州に赴き、特にその非都市部や小規模自治体における取組に着目した。現地調査から、以下のことが判明した。
(1)小規模自治体の場合、行財政上の資源が、ボローニャ等の都市部と比較して限定的であるため、広域行政連合の枠組みで対応する動きが強まっている。行政区域の広域化にともなって、社会的経済も「地域密着」と「広域対応」との両者を成り立たせる工夫が見られた。その際、効果を発揮するのが、コンソーシアムである。従来からイタリアの社会的経済におけるコンソーシアムについては、共同入札始め、独自機能が着目されていたが、その重要性が増していることを感じた。
(2)EUからの補助金の流れが南欧や財政逼迫のより深刻な地域に集中される傾向が強まる中、イタリアの社会的経済を支えるEUの補助金配分が相対的に低まることを受け、社会的経済の運営が厳しくなっている。社会的経済陣営は、実質的に「社会的協同組合」を軸にして構成されてきたが、そのネットワークを、地元中小企業にも拡大し、連携の幅を広げることで、こうした事態への対応を考えていく取り組みも始まっている。
(3)上記のことは、営利経済の非営利への関心の拡大と呼応する。しかし他方で、社会的経済陣営の働き方を見ていくと、社会的経済の固有性がやや薄れ、職場としての安定性、仕事の達成感、人間関係の良好さが着目されるなど、非営利において当然視されてきた労働文化の変化が見てとれる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 今、なぜ協同労働?ワーカーズコープ等の取組の経過と課題2011

    • 著者名/発表者名
      田中夏子
    • 雑誌名

      日本の科学者

      巻: 46 ページ: 40-45

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 資料に見るイタリアの社会的経済(4)非営利組織における労働をめぐる実証研究2010

    • 著者名/発表者名
      田中夏子
    • 雑誌名

      協同の発見

      巻: 213号 ページ: 81-91

  • [雑誌論文] 資料から読むイタリアの社会的経済(5)IRIS報告に基づく社会的協同組合をめぐる「疑問」への回答(C.Borzaga)2010

    • 著者名/発表者名
      田中夏子
    • 雑誌名

      協同の発見

      巻: 219号 ページ: 98-108

  • [学会発表] 協同組合コミュニティの建設2010

    • 著者名/発表者名
      田中夏子
    • 学会等名
      協同組合学会
    • 発表場所
      佐賀大学
    • 年月日
      2010-10-23

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公開日: 2012-07-19  

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