今年度の一つの研究成果は、若者の学校から労働への移行問題を取りあげ、雇用システムと福祉レジームの変容と持続についてまとめた論文である。本研究課題の研究成果を活かし、正社員の縮小と非正規雇用の拡大、いわゆる「成果主義」の展開にみられる1990年代半ばからの日本的雇用システムの変容と持続、ならびに従来型の企業・家族依存の福祉・社会保障システムの問題点の顕在化のなかで、若者の学校から労働への移行問題をとらえ、子ども・若者育成支援推進法(2009年成立)に基づき、若者自立支援に向けた地域内の関連諸機関・組織のネットワークを形成し、また、無料の職業訓練と訓練期間中の生活費を給付する「求職者支援制度」に代表される能動的な社会政策が部分的に動き出す一方で、こうした施策に伴う社会保障経費の抑制、自己負担の強化の動きがせめぎ合っている状況を分析した。 第二に、開発・設計段階から生産段階までの一貫した統合システムの追求、仕事管理・業績管理の再編成とが作り出しつつある新しい生産モデルの方向について、自動車産業に焦点をあて資料収集を行い、また、UDトラックスを訪問しヒアリングを行った。 第二に、日本の自動車生産システムとスウェーデン・ボルボの生産システムとの比較研究のこれまでの共同研究の成果について検討を深め、共同研究の成果とりまとめのため、スカイプを活用したスウェーデンの研究者とのディスカッションの場を設けた。また、連携研究者が国際会議出席の機会を利用し、共同研究の刊行に向けた打合せをスウェーデンにおいて行った。
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