研究課題/領域番号 |
21530543
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
原野 かおり 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (00390253)
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研究分担者 |
小林 春男 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (00127763)
谷口 敏代 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (10310830)
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キーワード | 介護労働者 / 主観的疲労感 / 客観的疲労 / アクティグラフ / 睡眠-覚醒リズム / 心拍変動解析 |
研究概要 |
本研究の最終年度の目的は、介護労働における夜勤者を対象として、睡眠-覚醒の調査に加え、仮眠時の状況を把握するために、夜勤中の心拍の変動を解析し、疲労と仮眠との関係を明らかにすることを目的とした。 調査対象者は同一の特別養護老人ホームに勤務する16名(男性6名、女性10名)とした。睡眠-覚醒の状態は、アクティグラフを夜勤前日より装着し3日間測定した。睡眠は、夜勤前日は中央値で8時間48分、睡眠潜時は5分、睡眠効率は97.7%であり、前年度の調査結果の夜勤前日の睡眠時間とほぼ同様の結果であった。夜勤中の仮眠は、0分が3名で、13名の仮眠の中央値は62(範囲29-94)分であった。睡眠潜時は7分で、睡眠効率の中央値は100%であった。心拍変動は、日本光電製ホルター心電計を用い25時間測定した。計測した心電図は、R-R間隔をHL成分とLF/HF成分をそれぞれ定量化した。心拍変動解析の結果は、副交感神経の反応を示すLH/HFが睡眠中は覚醒時に比べ有意に低下し、仮眠時はリラックスして休息できたことがわかった。なお、自由記述の質問において「疲れを感じる時はいつですか」に対して、「夜勤明け」5名、「仮眠から起きた時」2名、「身体が重たいと感じた時」2名、「4時頃」等の回答があった。また、「夜勤前後に心がけていることは何ですか」に対しては、「夜勤前はよく寝る」7名、「他何もせずゆっくりする」、「ぎりぎりまで寝る」など、意識的に身体を休ませている回答があった。以上、疲労対策として、介護労働者自身が睡眠負債を増加させない工夫をしていることが分かった。仮眠については、仮眠時間等によっては、睡眠慣性のため集中力が回復しない場合もあるが、夜勤前後の休日の確保と、勤務中の休息時間を確保する等の職場の環境整備が必要であることが確認された。 本結果は、介護労働者の健康管理をする上で重要な資料となりうると考えた。
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