本研究の目的は健康不安意識の広がりという現象を一つの糸口にして医療資源の配分にかかわる不合理な実態を明らかにし、より適切な配分の実現の可能性を探ることにある。方法としては文献研究、聞き取り調査を含むフィールドワークがある。 健康不安意識と医療の現状に関わる基本的な知見については、しかるべき文献としかるべきインフォーマントを通して入手できた。 おおみや診療所の松本光正医師を本学に招聘して研究会を開催できた。 関西・四国への出張では、香川大学の上杉正幸教授、京都大学の美馬達哉准教授など医療社会学の研究者から情報提供していただくことができた。 東京への出張では、メタボ健診プランの策定にかかわった関係者、日本赤十字の関係者などから事情聴取と資料収集ができた。また文部科学省からは、小中学校の健康診断における結核検査の変更に関する資料を入手できた。 フィールドワークとしては、根室市立病院を訪れ、遠隔地医療の置かれている厳しい状況について事情聴取ができた。浦河町にある精神障害者の施設「べてるの家」の入所者やスタッフからのインタビュー調査を実施できた。 以上についてわかったことの一部は、下記論文で公刊した。調査が年度末となったため、今年度の成果とはならなかった論稿もあるが、引き続き成果の公表を重ねていきたい。
|