研究概要 |
淡水問題は地球規模で大きな問題となりつつある。それは淡水の量的な側面と質的な側面の両面において、ともに問題となっている。わが国では、沖縄がこの淡水問題の問題点が如実に出ているので、沖縄に焦点をあてて研究を行った。ただ、沖縄が端的にこの問題が現出しているためにで研究タイトルに沖縄がついているが、いわゆる沖縄研究ではない。関心は日本規模である。また研究は十分に行い得なかったが、地球規模でもある。研究は、沖縄での調査はもちろん、小笠原などの類似の条件のところも調査をした。また、富山県黒部市や滋賀県高島町など、日本の各地での調査をも加えた。 調査の結果、以下のような知見を得た。ひとつは上水道システムという,いわゆる巨大システムを相対化(否定でもなく、現在のような絶対化でもない)することが望ましいと言い切ることができるだけのデータと分析結果を得た。どういうことかというと、沖縄を含めて、豊富に湧き水(清水)がわきでていたり、地下水として豊富な井戸水がある場所が日本では少なくない。上水道システムを完備するために、それらが埋め立てられたり、また親水公園という名のもとに、「使用しない水」として変更させられたりしている。使用しない水になると、飲料水でなくなるので、水の質が現実として悪化していた。また、それらの湧き水や井戸水を利用しなくなると、いわゆる「地元の水」に住民たちが関心をなくし、その結果、上水道の水も量的に不足し、質的に悪化していくことが分かった。どういうことかというと、地方の住民が住んでいたり、利用している山はともに、上水道の水源となることが多い(水源が山奥だけのところはほとんどない)。自分たちが使わない水がじつは下流の都市の住民の水源となるのであり、その自分たちが使わなくなった水が質的に悪化し、また量的な保全を怠っているのである。
|