本研究課題は、1917(大正6)年に本格的に始まった戦前期における日本の安全運動の全体像を明らかにするために必要不可欠な研究基盤を構築することにあり、具体的には、戦前期日本の安全運動の中心人物である蒲生俊文(1883~1966年)の残した史料等の収集・保存・整理・分析をおこない、その成果を学会・研究会、論文・報告書、ウェッブ・サイトで公表することにある。とくに、戦前期安全運動の中心人物でありながら、これまで詳細が不明であった蒲生俊文の履歴については重点課題として取り組み、その成果を公開する。 そのなかで、初年度に当たる本年度は、本研究課題に関係する史料等の収集をおこない、また、その保存および整理作業を集中的かつ効率的におこなうことを研究の目的と位置づけた。したがって、それらの分析および公表は次年度以降の課題となる。 本年度の研究実施計画は、蒲生俊文の遺族宅にある未公開の資料類を収集し、保存・整理の作業をおこなうとともに、蒲生が所有していた書籍・雑誌・ファイルなどを保管している中央労働災害防止協会内の「蒲生文庫」にある資料類のうち、本研究課題に関係する資料を収集し、その保存・整理をおこなうことであった。作業は予定どおり順調に進み、かつ重点課題に位置づけていた蒲生の履歴に関する未公開資料(とくに、履歴書および辞令各種)も発見でき、それらを収集し、保存・整理することができた。 以上の成果は、次年度以降の課題遂行にとって不可欠な作業であり、また本研究課題の目的を達成するための重要な作業である。したがって、戦前期日本の安全運動を正確に解明する手がかりを得たといえる。
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