本研究課題は、1917(大正6)年に本格的に始まった戦前期における日本の安全運動の全体像を明らかにするために必要不可欠な研究基盤を構築することにあり、具体的には、戦前期日本の安全運動の中心人物である蒲生俊文(1883~1966年)の残した史料等(以下、蒲生史料と記す。)の収集・保存・整理・分析をおこない、その成果を学会・研究会、論文・報告書、ウェッブ・サイトで公表することにある。とりわけ、戦前期安全運動の中心人物でありながら、これまで詳細が不明であった蒲生俊文の履歴については重点課題として取り組み、その成果を公開する。 そのなかで、2年目に当たる本年度は、蒲生史料を整理・分析し、それらを順次公開することを目標とした。本年度の研究実施計画は、まず、前年度に収集した史料等を利用して、蒲生俊文の伝記的史料、とくに蒲生俊文の履歴書および各種辞令等を整理・分析し、それらを公開すること、また加えて、今年度に購入した機関誌『産業福利』復刻版を分析することである。前者については、論文「蒲生俊文の履歴書および辞令」(『近畿大学法学』第58巻第1号、2010年6月)をはじめ、「蒲生俊文「日本に於ける我が安全運動と其哲学」他」および「蒲生俊文の墓誌」(ともに『近畿大学法学』第58巻第4号、2011年3月)で発表し、公開してきた。また、後者については、現在分析を進めている最中であり、その成果は次年度に公開する予定である。なお、本研究課題のなかで重点課題として位置づけた履歴書等の公開と略伝の執筆については、本年度において前者を遂行したので、次年度では後者に取り組む予定である。
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