研究課題/領域番号 |
21530576
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
道場 親信 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (60287951)
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キーワード | サークル / 文化運動 / ネットワーク |
研究概要 |
2011年度は、6月に日本社会学会春季大会シンポジウムで報告を行うとともに、『人民文学』復刻版への解説(8月刊行)と『労働再審4』への論文執筆(9月刊行)を行った。8月にエル・おおさかで行われた50年代の幻灯の研究発表会においてこの分野の研究者と交流が可能になり、その後10月の山形国際ドキュメンタリー映画祭、1月の早稲田大学でのシンポジウムでも意見交換を深め、2012年秋に開催予定の第6回戦後文化運動合同研究会での報告を依頼した。他方、9月には原爆文学研究会主催のワークショップに参加、この間進めてきた広島での戦後サークル運動をめぐる議論を深めることができた。10月には山形国際ドキュメンタリー映画祭に参加、幻灯研究者との交流ばかりでなく、ドキュメンタリー映画やテレビドキュメンタリーと50年代のサークル運動の背景をなす炭坑や地域生活等について認識を深めた。山形滞在に合わせ、山形県立図書館と山形国民教育研究所ではサークル運動関連の資料の所在を確認、とくに後者においては今後のインタビュー調査への協力を了承していただいた。同じ10月に大田区民大学で50年代サークル運動についての講演を行うとともに、思想の科学研究会サークル戦後史研究会において50年代の『思想の科学会報』を読解する報告を行った。大原社会問題研究所で北九州国民文化会議関係の資料を調査し、11月の第5回戦後文化運動合同研究会で報告した。同研究会の際は、合わせて北九州のサークル運動の拠点の一つであった人幡製鉄所の見学も行った。12~3月には、元住民図書館長で戦後のミニコミの歴史に詳しい丸山尚氏にインタビューを実施(継続中)、1月には、10月の区民大学で出会った元下丸子の労働者の方にインタビューを行った。2月には、労働史史料研究会で報告、3月には以前より継続している旧渥美町の杉浦明平グループの森下隆蔵氏と川口務氏にインタビューを行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象地域別に述べると、地域1の東京南部のサークル運動については、現時点で可能な研究をほぼ終了し、11年度に2本の論文にまとめるとともに、地元の区民講座で一定の還元ができた。地域2については以前の年度にインタビューが先行したが、サークル誌のデジタル化は順調に進んでいる。合わせて渥美半島におけるサークル文化運動・地域住民運動の関連を読み解くべく杉浦明平グループへのインタビューを進めている。地域3については、専門的に研究するグループが現地に形成され、この人々との共同研究会を実施して最新の成果を共有している。地域4は資料調査を終え、12年度にインタビュー調査を実施する予定である。全国的動向については『人民文学』『文学の友』復刻の作業の中で明らかにできたことを論文にまとめている。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り実施の予定である。サークル誌のテジタル化作業を進めるとともに、成果の論文化を一層進めたい。また、以前の年度から引き続いて各地のサークル運動研究者と研究会等の共同作業の場を積極的に設け、成果の共有と議論の深化をはかっていきたい。
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