2012年度は、前年度から継続して丸山尚氏へのインタビューを月1回のペースで継続し、10-11月にかけてまとめをして『和光大学現代人間学部紀要』第6号に掲載をした。思想の科学サークル戦後史研究会に参加し、思想の科学研究会内に生まれたサークルの聞き取りと合わせて、50年代の『思想の科学会報』を読み進め、合わせて『中央公論』誌に連載されたサークル時評「日本の地下水」の読解を進めた。4月と5月には、50-60年代に広島で発行されたサークル誌『われらのうた』を読み進める研究会を、研究仲間とともに開催し(広島と大阪で開催)、4月の際には、当時のメンバーの方々においでいただいてお話をうかがうことができた。7月には広島で開催された原爆文学研究会のワークショップに参加した。以上の研究会に参加した人びとと9月開催予定であった第6回戦後文化運動合同研究会の打ち合わせを行ない、報告者やプログラムの調整を行なった。合同研究会は早稲田大学で行われ、2日間にわたって多様な50-60年代のサークル文化運動の諸相について議論を深めることができた。同じく9月には、60年代から長野県において続けられた「信濃生産大学」をふり返るシンポジウム「「宮原社会教育論と現代」研究フォーラム」にも参加した(佐久市)。農村での社会教育活動と自主的な学習サークルとが結合したこの運動には、東京大学教育学部宮原誠一門下の社会教育主事らが実践的に関わっていた。これまで社会教育系のサークル運動(論)との関わりが不足していたことを反省し、視野を広げることができた。そのほか、50年代のサークル運動に大きな影響を持った原水爆禁止運動に関する聞き取り(7月・3月)、元『サークル村』メンバーの方の遺品整理(2月)、東京南部でのサークル活動の記録を残した在野の研究者の方の遺品整理(1-2月)、山形国民教育研究所での資料調査(3月)等を行なった。
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