研究計画に基づき、平成22年度はデータの分析、ケース研究および、文献研究を行った。データ分析に関しては、平成21年度に保育園児の母親対象に行ったアンケート調査が複雑な回答形式であったため、前年度の初期入力の結果を算出すると、データ内容に混乱が多いことが判明した。そのため、データクリーニングを業者委託の形で丹念に行い、今後の分析においても正確な矛盾の無いデータに整えた。そしてこのデータに基づき、アンケート調査結果の単純集計結果及び自由記述欄に記入された内容は倫理的配慮を行い、平成23年度末に報告書として印刷製本し、調査協力園に対し結果のフィードバックを行った。また、ケース研究では、母子生活支援施設などで母子家庭の母親対象にインタビュー調査を行うなど、量的調査結果では分からない、ひとり親での生活になる背景や子どもへの思い、親子関係などについて聞き取りを行った。モデル地域研究としては、平成22年度より調査研究地域である熊本県がひとり親等応援事業を開始し、在宅就労支援のみならず、キャリアアップ支援講座や子どもの教育対策事業など県独自に積極的な取り組みを開始したので、その内容や取り組みに至る背景について調べ、現在も担当者から事業内容や進行状況などを直接確認している。さらに、ひとり親やその子どもについて国内外の文献研究を行い、歴史を通じた研究や、現時点での国や地域におけるひとり親に対する施策について調べるなど、多角的研究方法でアプローチすることにより、現在も増えつつあるひとり親家庭やその子どもたちが、格差が広がる日本社会において貧困の連鎖に陥るなど不利にならないように、その課題や適切な支援方法などについて研究・考察を行った。
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