近年、アフリカ諸国出身者をはじめとする少数派で日本国内にエスニック・コミュニティを持たない難民申請者が目立つようになっている。本研究では、専攻研究調査に加え、海外での難民認定申請者に対する支援の調査及びグループワークの参与観察と個別インタビューをおこない、調査対象者が日本を訪れた経緯とその後の生活状況を把握するとともに、日本での生活適応における過程とそこでの課題を整理した。エスニック・コミュニティを持たない申請者は日本での生活適応に困難を抱え孤立する傾向が強い。また、入国前の日本や難民認定申請手続きに関する情報も乏しく、その後も生活に必要な情報へのアクセスも限られている。こしたグループに対しては、個別支援に加えてグループワークなど集団での支援が効果的であることを明らかにした。
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