<成人期前期(18-40歳)>(1)単親家庭-経済的困窮の傾向が強く、しかも従来のように母子世帯にとどまらず父子世帯においても非正規雇用に従事する者においては共通する。ここで、親族による支援が期待できない場合、地域社会との関係や地域の社会資源の活用とも疎遠になることによって、家族内部の密室性が高め孤立を深めつつ、障害のある子どもの問題行動が拡大が引き金となって、虐待発生に至る。なお、障害のある子どもの養育をめぐる困難が離婚原因になる傾向も見いだされる。(2)夫婦・子ども世帯-安定就労による所得の長期安定性がある世帯においては、障害のある子どもの学童期においてひとまずの家族関係の安定性がみられる。そして、子どもの学校卒業後のライフステージに移行する局面をめぐり、子どもを取り巻く厳しい社会的現実(就労できない、福祉サービスが思うように利用できない等)に直面することによって母親が子どもを抱え込む傾向性を余儀なくされて母子関係が孤立を深め、心理的虐待とネグレクトの発生につながる。 <成人期後期(41歳以上)>(1)単親家庭-きょうだい関係の絆は解体されているケースが多く、親が子どもの障害基礎年金を世帯の生計費としてカウント傾向を強めることによって経済的虐待を発生させ、そのことが子どもの地域生活における自立を阻む構造を強めていく。(2)夫婦・子ども世帯-きょうだい関係の絆は程度の差はあれ保持され、障害のある子どもの養護者を今後誰が引き受けるのかをめぐる家族内部の葛藤が出現する。ここで、社会階層の低いきょうだいの障害基礎年金を生計費の一部として期待する傾きが生まれることによって経済的虐待が発生する。 <ネットワークと社会資源について>今年度は、「さいたま市相談支援指針」(さいたま市)を平成23年3月に策定し、ここで虐待対応の中核チームと連携支援のあり方を明らかにすることができた。
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