平成21年度においては、研究対象地域の世帯に関する調査(官公庁の統計等)、関連分野・ケースに関する文献調査(社会福祉、地域経営、子育て関連等)により、対象地域・地域外、(英国の荒廃都市部での協働子育てモデル等)、における協働型子育て事例の整理を行った。特に、関係者ヒヤリング(親、行政担当者、公私立保育園、インターナショナルキンダー、外国人教育関連団体、NPO法人ほか)による協働型子育てに関する課題と展望を捕捉し、次年度以降の意識調査による実証に供する仮説を立案する作業を行った。 特に、欧州地域(オランダ、アムステルダム市ほか)のコミュニティ連携型の子育て事例を収集し、その効果的活動を核とする各地域社会におけるネットワークアクターの連携の実態や触媒機能を発揮しているメインアクターの存在、さらには、行政の支援にみられる共通項、ICTメディアを活用した連携促准のための土壌づくりに関する論点を洗い出したところである。 この結果、地域社会における既存の社会教育施設などをハブとした、対面での濃密な対話の場や異なる意識や見解を持つ有識者の支援の重要性、はたまた、成功事例に関する情報をアーカイブし、横展開していく上で重要な要素として、散在するアクターを結束し、共通理念に基づく行動を喚起するためのイベントやビジュアルで体感できるような具体的イメージや媒体の活用が極めて重要であることが、定性的な事例研究の結果、明らかとなったところである。
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