H21-22年度は、以下の2つを中心に実際の福祉行政現場での展開可能性の検証を行った。1)DV被害母子へ中長期支援の一部として、行政(配偶者暴力被害者支援センターおよび男女共同参画センター)との共同で、DV被害母親への被害回復のためのグループカウンセリングプログラム(プレグループ2回、本グループ10回)を行った。これは、当該地方行政機関のDV基本計画の一部に基づくものとしての位置づけであった。2)グループカウンセリング実施に当たり、グループカウンセリングのリーダー・サブリーダーには、実際に女性問題相談に当たっている相談員に担当してもらい、研究者はオブザーバーおよびSVとして関与する形を取った。毎回事後にスタッフ間のミーティングを行い、グループプロセスの理解およびリーダー・サブリーダーの役割、メンバーへの介入などについて話し合った。これにより、DV被害母親へのグループカウンセリングを福祉現場担当者が担っていく力量をつけることで、より充実した福祉行政の質が保たれるものと思われたためである。この実施に当たり、リーダー・サブリーダーには、2年前より開始した勉強会に参加してもらい、その準備を行ってきた。実施中も引き続き定期的な勉強会で知識と経験の融合をはかる取り組みを行った。グループカウンセリング参加者に対しては、事前面接・事後面接・フォロアップ面接(4カ月後、1年後)を実施し、グループ参加前後の母親自身および子どもの変化についてインタビューおよび質問紙調査を行った。参加者からは、自分や子どもの変化についての振り返りの言葉が語られた。現在、グループ参加による効果検証中である。また、グループのリーダー・サブリーダーについても、グループ効果や援助者としての成長についてインタビュー形式での調査行った。H23年度は、行政主体でのより効果的なグループ運営ができるようなグループ実施を予定している。
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