研究課題
本年度は、二つのグループホームにおいて、主に以下の二つのテーマについて研究を行った。・グループホームA:介護者-入居者間のインタラクションを微細に分析した。高齢者が介護場面でしばしば困難をきたす、椅子からの「立ち上がり行動」の中で、単に高齢者の身体の不自由さに原因がある場合ではなく、立ち上がりがどのような目的を持っているかを介護者と共有することに困難を抱えている場合を取り上げ、分析を行った。その結果、うまく立ち上がりが行われる場合は、目的行動以外の方向に注意をそらせる事物(テーブル上のものや他の介護者、入居者の行動)を介護者が身体を用いながらうまく隠すとともに、立ち上がりに入居者の注意を向けるよう、自他の身体位置をすばやく調節していることがわかった。・グループホームB:カンファレンス時における介護者間の身体動作分析を行った。介護者どうしは、複雑な身体動作を伴う介護動作を、発語のみならず、ジェスチャーを伴って表現していた。また、こうした表現は、テキストとして書かれた日誌と対比される形で行われていた。介護者間で、身体動作の一部が繰り返し真似られることで、発語以外の身体動作に関する知識がやりとりされていることも明らかになった。以上の研究から、介護者-入居者間、および、介護者一介護者間のコミュニケーションにおいて、言語以外の身体的な情報のやりとりが実際の現場で重要な意味を持っていることが明らかになった。
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信学技報IEICE Technical Report
巻: HCS2010-29(2010-8) ページ: 13-18
社会言語科学会第26回大会発表論文集
ページ: 166-169
http://www.shc.usp.ac.jp/hosoma/