本研究の目的は、子ども家庭福祉実践における「リスクとリジリエンスの視座」の有効性を理論的に明らかにし、この視座に関する実証的研究をとおして、実践レベルにおける援助のモデルを提示することである。2年目にあたる今年度の研究は、以下の3点に分類できる。 第1は、子ども家庭福祉領域の実践者とともに、社会的養護のもとにあるレジリエントな子どもについて検討した。具体的には、実践者を招いてレジリエンスに関する研究会を発足し、レジリエンスの概念について共通の理解を深めた。この研究会をとおして、実践者にはレジリエントな子どもについて経験の知を備えていることが示唆された。 第2は、社会的養護のもとにある子どものレジリエンスの特性について検討した。具体的には、児童養護施設に入所している子どもを対象に、聴き取り調査を開始した。これについては、来年度も引き続き調査を行う予定である。 第3は、わが国の対人援助専門職おけるレジリエンス研究を広く検討した。わが国でのレジリエンス研究は、近年ますます拡大し、新たな研究成果が報告されている。来年度も引き続き、これらの研究を視野に入れながら、最終年度に向けて子ども家庭福祉におけるレジリエンスに関する研究を進める。
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