研究概要 |
本研究の目的は,ストレスの高い介護職員向けのセルフケアを中心としたストレスマネジメントマニュアルを作成すると共に,組織内での管理者の役割や介護職同士の相談体制や外部機関との連携モデルを作成し,その効果評価を測定することである。初年度は,介護福祉施設及び介護職員のストレス調査を実施した。調査項目は,対象者の特性(年齢,性別,婚姻状況,職種,就業年限,雇用形態,交替勤務の状況)と「職業性ストレス簡易調査票」と「Negative Acts Questionnaire(NAQ)の日本語版」を用いた。調査対象は,A県のB地区にある特別養護老人ホーム38施設中35施設の医師を除く全従業員1642名(回収率85%)から回答を得た。調査項目に欠損値のない1277名(66.1%)を分析対象とした。男性は300人,.平均年齢31.6(0±8.7)歳、女性は977人39.1(±12.5)歳であった。男性の78.0%、女性の71.0%が介護職を占めていた。その他の職種では男性はケアマネージャー9.7%、事務職が9.0%で、女性は看護職が12.4%、栄養職が6.8%であった。ストレス判定図に基づいた仕事の量的負担とコントロール度から判定される健康リスク100以下は4施設のみであった。本分析では簡易測定法を用いて得点を算出した。職員のストレス反応に関連する要因を明らかにするために,従属変数を心理的・身体的ストレス反応とし,各要因との関連を単変量ロジスティック回帰分析により男女別に行った。身体的ストレス反応は,男性は健康状態のみに関連し,女性では年齢,婚姻状況,雇用形態,職場のストレス,健康状態に関連がみられた。心理的ストレス反応に影響する要因には,男性は仕事のいじめと健康状況に,女性は個人的ないじめと年齢,雇用形態,交代勤務に関連がみられた。次年度は,施設管理者からストレス対策についての実施状況や,内容およびニーズを把握するためのヒアリング調査を実施する予定である。
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