研究概要 |
本研究の目的は,ストレスの高い介護職員向けのセルフケアを中心としたストレスマネジメントマニュアルを作成すると共に,組織内での管理者の役割や介護職同士の相談体制や外部機関との連携モデルを作成し,その効果評価を測定することである。平成22年度は,介護福祉施設の相談体制の現状を面接調査した。調査方法は,平成21年度に調査協力が得られた33施設の施設管理者及び施設管理者が指定した人事担当者に面接調査への協力を依頼した。衛生委員会等のメンタルヘルス対策を審議する場の有無施設における実態の把握,心の健康づくり計画の策定,施設内体制の整備,教育研修の実施,メンタルヘルス不調者の早期発見と対応,メンタル不調で休業した人の職場復帰支援プログラムや従業員の中で精神的な問題が起きたときの体験や管理者として従業員が生き生き働けるような工夫について核になる質問をもとに自由に語ってもらう「半構造化面接」を実施した。面接内容は許可を得て録音した。3施設が施設外資源(相談機関)を活用し,相談窓口を設けていたが,大半の施設はケースバイケースで対応していた。話しやすい雰囲気作りを作っているので,相談体制は必要ない,直属の上司が相談相手となっている,職場として決まった相談体制の必要性を感じないといった意見が多かった。施設内では従業員を対象にした多くの研修が設定されているが,利用者のためのケアの質を向上するための研修が主で,従業員のメンタルヘルスを対象とした研修は少ない。次年度は,ストレスマネジメントプログラムを提供し,その効果評価を測定する予定である。
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