研究概要 |
平成22年度に実施した介護老人福祉施設の相談体制の現状把握及びストレスマネジメント紹介後の従業員の職業性ストレス及び対人関係を把握することを目的とし、平成21年度に使用した質問紙調査を実施した。調査項目は、対象者の特性、職業性ストレス簡易調査票とNegative Acts Questionnaire(NAQ)の日本語版である。2回共回答が得られた746名のリンケージ後の介護職は男性146名、女性462名であった。調査項目の記入不備を除いた4n名(男性114名、女性297名)を分析対象とした。分析は、各変数の基礎統計を算出後,初回調査時と2年後調査時のストレス要因,ストレス反応,対人関係の経年的変化は対応のあるt検定を行った。心理的ストレス反応、身体的ストレス反応の初回調査時得点の中央値以上を高ストレス反応群、以下を低ストレス反応群とし、2年後調査時のストレス反応の変化・維持を低ストレス維持群(低→低)、ストレス低下群(高→低)、高ストレス維持群(高→高)、高ストレス変化群(低→高)に分類した。各ストレス要因については、2年後の各ストレス要因から初回調査の差を求め、各ストレス群の平均値を比較するために一元配置分散分析を行った。カテゴリ変数はχ2検定を用いた。ストレス反応に関連する要因を抽出するために、初回のストレス低群及び高ストレス反応群別に、群間で有意差が認められた項目を独立変数にした多重ロジスティック回帰分析を行った。結果、ストレス反応の変化・維持は身体的ストレス反応に有意差(p=0.006)が認められ、女性に高ストレス維持群の割合が高かった。群別にみたストレス反応に関連する要因としては、身体的ストレス反応高群には、人間関係(オッズ比(OR)=1.08,95%信頼区間(CI)=1.01~1.13)、心理的ストレス反応高群には人間関係、仕事の適性度、心理的な仕事の量的負担が有意に関連していた。介護福祉施設ではストレス対策のための相談体制が一般化されていない現状でのストレス対策が急がれる。引き続き介入調査を行う予定である。
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