本研究の目的は、障害者のソーシャル・インクルージョンを促進する一環として、日本における障害者雇用の創出や就労支援システムの工夫・改善を行うために、自助・相互支援・公助の観点から、日本の特例子会社等保護雇用の現状と課題、ドイツ語圏でのソーシャル・ファーム(社会的企業)や支援付き雇用の現状と日本への応用への可能性について明らかにすることにある。 この目的を達成するために、平成21年度においては日本の保護雇用の現状と課題の明確化の第一段階として、地域を限定し、特例子会社の障害者雇用担当責任者に雇用の現状と課題についてインタビュー調査を実施した。具体的にはX県内の特例子会社7社で、事前に送付した次の4点に基づくインタビューを行った:特例子会社設立から今までの経緯、障害者雇用に関する企業内での配慮、関係機関との連携、精神障害者の雇用拡大に必要なこと。 インタビュー内容を自助・相互支援・公助の観点から整理・分析したところ、障害者雇用の維持・拡大のための特例子会社の業務確保の重要性、それに対する親会社を中心とするグループ会社との関係、特例子会社設置予定企業・関係機関・地域との関係、障害当事者を含む社員間の関係についての視点が浮かび上がった。公助の観点に関しては特例子会社からの情報だけではなく、行政機関からの情報も確認する必要性が平成21年度研究の整理・分析の過程で出てきた。したがって、平成22年度前半において、X県障害者雇用担当部署への補足調査を実施予定である。
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