熊本市における医療・介護の事業ネットワーク組織のうち、脳卒中のネットワーク組織と大腿骨頸部骨折のそれは対照的なネットワークシステムの下に運営されている。本研究はその創痍の原因を明らかにするために、事例研究法により比較検討した。両者の違いは、疾患の性質による、急性期-回復期-維持期-在宅という流れの中で、どの時点でケアの全体のデザインを決定するのが妥当なのかという点によることが明らかになった。大腿骨頸部骨折は、急性期すなわちケアの流れの上流でデザインすることが適切であり、脳卒中は回復期すなわち中流でデザインすることが適切である。この違いのため、大腿骨頸部骨折のネットワークは、急性期が主導する強固なタイプのネットワーク組織となり、脳卒中のネットワークは、急性期が大まかなデザインを作ったあとに、回復期でそのデザインを適宜変更していく緩やかなタイプのネットワークになった。このほかの疾患のネットワークを作る際にも、どの段階でケアのデザインを確定することが適切なのかによって、ネットワークの性格が異なることが示唆された。
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