1.援助者支援・被虐待児支援プログラムの調査の実施 プログラム実施可能な児童養護施設を選定し、援助者支援・被虐待児支援プログラムモデルに基づく個別プログラムを実施し、効果の評価とプロセスの時系列分析及び評価を行った。その際、プログラム評価のためのプロセス評価尺度(特に研修における評価尺度)及びアウトカム評価尺度、子どもの主観的QOLも作成し、プログラム実施の方法論的なモデル構築も目指した。 さらに、本研究の大きなテーマである援助者の共感疲労の程度が、養育行動にどのように影響するかということを量的な質問紙調査によって検討した、その結果、共感疲労が高くなるにつれて、不適切な養育行動であるFR行動が昂進することが統計的に実証された。「援助者支援・被虐待児支援プログラム」というように、「子どもへの支援は、養育者への支援である」ことが質問紙調査という限定された手法ではあるが、実証されたといえる。以上は、Fujioka (2011)において発表した(Journal of Social Policy and Social Work Vol.15. 39-57 2011.)。 2.効果的な援助者支援・被虐待児支援プログラム(完成版)の構築 援助者支援・被虐待児支援プログラムの評価調査の効果評価、プロセスの時系列分析・評価の関係を分析し、効果への寄与という観点からプログラム要素を見直し、プログラム(完成版)を作成した。提案モデルに対して、共感疲労・共感満足・バーンアウト理論及び愛着形成の観点から再検討を行った。また、援助者支援で重要な自己チェックリストについて、さらに検討し、共感疲労については4因子、共感満足についても4因子を特定し、援助者支援の観点から、援助者を多面的に評価し、支援の方略が組めるようにした。この尺度は、現在被災地における援助者支援にも活用されており、児童領域に限らず、広く汎用化されていくことが期待される。以上は、藤岡(2010)において発表した。
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