(1)第1に、『コンパクト』(1998年)から始まって、コミュニティ利益会社法の制定やチャリティ法の見直し、あるいは地域戦略パートナーシップ(LSP)に至る一連の政策文書を収集し、「第三の道」政策に関わる議論の整理をしたが、今年度は、とくに、2006年に内閣府内にサードセクター局が設置された経緯について把握し、関連する議論を整理した。 (2)第2に、全英ボランタリー組織協会(NCVO)の受け止め方についてヒアリングを実施した。NCVOはイギリスで活動するボランタリー組織の全国統括組織である。ヒアリングの目的は「第三の道」に対するイギリス国内での代表的な評価を確認することである。NCVOに関しては政権交代の影響を受けていないという結果であった。 3)第3に、社会的排除と向き合って事業展開する社会的企業の事例研究である。昨年度はコミュニティ・トランスポート協会CTA傘下の小規模な社会的企業のヒアリングを実施したが、今年度は規模の大きい社会的企業、すなわち、ロンドンの東部で活動を展開するハックニー・コミュニティ・トランスポートHCTでのヒアリングならびに資料収集を実施した。 (4)研究成果の一部を「労働政策の転換と非営利・協同セクターの役割」および「イギリス労働党政権「第3の道」の展開に関する調査研究」として発表するとともに、明治大学社会科学研究所シンポジウムにおいて「『新しい公共』とサードセクター」と題して報告した。
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