1年目は直接支援のためのフォーマットの開発、それを使った支援の効果の検証「ミクロレベルのSW介入」の調査研究を行った。2年目の本年度は、カンファレンスに着目し、「メゾレベルのSW介入」について研究を行った。具体的には、スタッフや組織、地域関係機関とともに当事者家族同席の退院時カンファレンスの実施状況とそのカンファレンスにおけるエンパワメント発揮の機序・内実を探索した。 研究対象は全国50箇所50人の研究協力者の総合病院のMSWが、21年度22年度に実施した、退院時カンファレンス事例155件である。 研究方法は郵送調査を用い、カンファレンスの実施状況と概略について量的調査をしたのち、各事例について記録とインタビューによる質的分析をおこなった。当事者や家族が同席したカンファレンスは、50人全員が実施経験を持っていた。しかし地域関係機関の同席経験は41人であった。その目的は、1.傷病理解促進、2.退院環境整備、3.地域機関の知識習得依頼、4.その他であり、サービス調整だけでなく、当事者への障害受容や退院納得を目的としたものが多かった。 さらに当事者・関係機関参加の事例のうち、エンパワメントを意識したカンファレンスと認識されたものに関して、インタビュー調査を10人、32事例に対して行い、エンパワメント発揮のために、不明点の明確化を中心に、1.発言の保証、2.再説明の促し、3.代弁、4.将来イメージの想起、5.退院感情、の各概念の相互関係図を作成できた。
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