平成23年度はより広範囲の対象に利用者参画の社会福祉教育や教育研修を実施した。具体的には、(1)認知症の当事者やケアラー、介護職が参画する映像教材づくりと事例検討会の実施、(2)教育現場における保護者と教員の葛藤場面についての映像化教材づくりと教育研修の実施、(3)サービス提供場面における「利用者/専門職」間の葛藤を、DVD教材と障害当事者の語りに基づいて参加者全員が再構成と再体験を行うプレイバックシアター方式での研修会の実施等である。 また、既に開発した身体障害、精神障害、発達障害に関わるDVD教材を用いて、当事者参画の社会福祉教育や事例検討会や教育研修を広範囲の対象者(学生・研究者・医療福祉サービス従事者・地域住民)に実施することによって、当事者参加のインタープロフェッショナル教育の充実を図った。以上の教育・研修の実施に至るプロセスについては参加者間の相互作用分析を引き続き行うとともに、福祉コミュニティ形成過程を明らかにする目的で、障害児の母親や地域住民、療育者、認知症当事者とそのケアラー等を対象としてインタビュー調査を行い、その成果の一部を学会や論文発表により公表した。さらに、近畿圏の福祉専門職の養成校における利用者参画の教育の実態を明らかにする目的でアンケート調査を実施するとともに、前年度に引き続いて英国における利用者参加の社会福祉教育のデータ収集と分析を行った。 なお、以上の成果については学術論文や学会発表および学会での自主シンポジウムの開催等をとおして公開した。
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