平成21年度は予備的知見の収集と、調査の準備段階として、ドメスティックバイオレンスに関する資料収集を中心に行ったのと、先行調査として母子生活支援施設に入所中の母子世帯の母親と、地域生活に移行している当事者についてヒアリング、あわせて3件の民間シェルターのヒアリングを行った。 (1)文献・資料集は、国内のシェルターなどを検討する視点を持つために、北欧のシェルター事情について収集した。 (2)母子生活支援施設の入所者におけるヒアリングでは、3名にヒアリングを行い、その当事者の施設入所までの経緯とその処遇としての施設入所についての有効性を検討した。当事者と施設からのヒアリングから、入所の理由が緊急一時保護によるものやそうでないものも含め、施設における相談員の存在による安心感や回復の度合いと、その後の就労自立支援に、一定、自立を促しているとうかがえた。 (3)地域生活をしている当事者へのヒアリングとして、近隣の母子寡婦福祉会を通じて5名のヒアリングを行った。地域生活ではすでに回復したと思われがちであるが、精神面については、長期または一定期間経過後に突発的に病状があらわれ、その後の生活に予想もしない障害となるケースがあった。 (4)いくつか国内の民間シェルターを訪問調査した。保護に至るまでにはその地域性により、個人情報が守られにくい地域や利用者間や利用者と援助者の問題も生じていた。退所した時点での地域生活への移行には、その地域の生活保護の運用の違いや施設数(母子生活支援施設)にもよって、住所設定か施設入所の違いが現れた。
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