研究2年目にあたる今年度は、ハイリスクな利用者システムに関する事例収集を継続しつつ、そこから理解したチーム・アセスメントにとって重要となるファクターを抽出し質問項目に反映・精査し、昨年度試案したプロトタイプ版の精緻化に取り組んだ。 具体的には、 (1) ハイリスク利用者システムにかかわり対応に苦慮した経験のある精神保健福祉分野で活動するソーシャルワーカーから事例の聞き取りを行った。社会福祉専門職との連携では、単身者や他地域からの転出者への対応や重複障害を有する利用者への支援などこれまで本研究が想定していたハイリスク利用者システムの範囲に新たな課題が提示された。 (2) エコシステム研究会におけるチーム・アセスメント支援ツール作業部会のメンバーとの協働により、実践支援ツールとしての目的や機能を理論的・実践的に再点検し、実用化へ向けてのプロトタイプ版の作成とその精緻化(ver.5まで)を図ることができた。 (3) ハイリスク利用者システムの同一事例(現在進行形)にかかわった複数のソーシャルワーカーの協力を得ることができ、実際の事例に基づき、プロトタイプ版(ver.4)を用い入力をしてもらう形での検証作業を行うことができた。この経験から、検証作業を効果的に行うためのプログラムの必要性を認識することができた。現在、検証作業用のプログラム(案)を作成・検討中である。 (4) これまでの研究成果を学会で報告した。 (5) 上述の研究を進める中から、ツールを活用するソーシャルワーカーの実践的力量へと関心がつながりつつある。
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