研究概要 |
研究最終年度にあたる今年度は、これまでのハイリスク利用者システムに関する事例収集や現在進行形の事例への検証作業にもとづき、昨年度作成したツールのプロトタイプ版(ver,5)のさらなる精緻化とともに実用化に向けてのツール活用プログラムの作成に取り組んだ。 1.エコシステム研究会におけるチーム・アセスメント支援ツール作業部会のメンバーとの協働により、研究会における研究成果の報告・検討などを通して、2や3の結果を反映しつつ、実践支援ツールとしての目的や機能の点検をくりかえし、プロトタイプ版の精緻化を図ることができた(ver.9まで) 2.昨年度の現在進行形事例への検証作業から、検証作業を効果的に行うため作業用プログラムの必要性を認識し、試案の作成に取り組んだ。それを用いて、ハイリスク利用者システムの同一事例(現在進行形)にかかわった複数のソーシャルワーカーの協力を得て、プロトタイプ版(ver.6)に入力してもらう形での検証作業を行うことができた。検証作業用プログラムの有効性を実感するとともに、ツールの実用化に向けてのいくつかの課題も明らかになった。 3.ハイリスク利用者システムにかかわり対応に苦慮した経験のあるソーシャルワーカーへの事例の聞き取り調査も継続して行った。単身のHIV患者や若年難病患者への支援における社会福祉専門職間の連携の重要性を物語る本研究の新たな対象事例が提示された。 4.上述の研究過程で、ソーシャルワーカーの方たちからは、事例の聞き取りやツール検証作業のプロセスそのものが自らの実践をふりかえる機会になるとのフィードバックをいただいた。ツールの有効性への確かな手応えを得る一方で、支援ツールの精緻化のみでは、効果的な実践を志向したチーム・アセスメントは完結しないことをも実感している。ツールを組み込んだチーム・アセスメント支援プログラムの開発という新たな研究課題を認識している。
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