・特別養護老人ホーム入所者(平均年齢±標準偏差83.1±2.3歳、女性2名と男性1名)に、平成23年5月から回想法スクールを毎月1回合計5回開催した結果、生きがい感スケール(K-1式)の得点は介入前から介入後に改善したが、介入終了から6か月後に下降し一時的に上昇した生きがい感は維持されなかった。 ・特別養護老人ホーム入所者(平均年齢±標準偏差94.7±3.5歳、女性3名)に、平成22年5月から回想法スクールを毎月1回合計10回開催し改善した生きがい感の維持向上を目指し継続支援として同窓会を開催した結果、生きがい感はさらに改善し認知症の周辺症状が軽減する中で意欲的な行動が増加した。 ・元気高齢者への回想法スクールを平成21年から平成23年までの期間で、4グループ(平均年齢±標準偏差70.7±6.4歳、男性5名女性13名)に実践しスクール終了後に同窓会を合計6回開催した結果、生きがい感は介入前から介入後に改善し改善された生きがい感は維持され、新たに形成されたグループの力を活用し回想法ボランティアとして社会参加できるよう回想法ボランティア養成講座を開催した。 ・回想法の認知度を把握する目的で、平成22年12月に近畿2府4県の高齢者福祉施設・事業所から無作為抽出した180か所に郵送法によるアンケート調査を実施した結果、回想法の技法を51.1%の者が知らないと答えていた。 ・回想法の普及活動として、回想法のパンフレットを作成し地域住民や福祉現場の職員に回想法講座を開催しアンケート調査を実施した結果、講座後に96.4%の者がコミュニケーションの自信が向上したと答えていた(P<0.001)。 ・居住環境により回想法の効果に差があるか確認することを目的に、都市部と山間部の地域在住高齢者への介入効果を比較検討した結果、居住環境に関わらず生きがい感が上昇することが確認でき、居住環境にかかわらず1人暮らし高齢者の生きがい感が低いことが示された。
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