本研究は、ヨーロッパで近年急速に進展しつつあるソーシャルエコノミーの観点から、障害者の就労と社会参加を促進するための既存の制度・施策と補完的な役割を果たす第三の道を明らかにし、いかなる社会的かつ制度的条件が必要なのかを明らかにすることを課題とし、それらを踏まえたインプリケーションとして、熊本県水俣地域における現実的展開の可能性を明らかにする。 1)調査・研究の実施:滋賀県独自の制度に関して大津市での関係者へのヒアリングの実施。なお、水俣地域で企業組合やNPO関係者の予備的調査を行うとともに水俣病を取り巻く法制度の変容についての考察を発表した。公害被害地域である水俣において、新たなまち作りの基盤としての社会的企業に関して、地域のアクターからのヒアリングを実施した。 2)研究会:大阪や東京で開催された研究会(障害者労働研究会、日韓社会的企業セミナーなど)に参加して研究発表や討議を行った。とくに韓国から研究者訪日した研究者と詳細な討議を実施し、資料も入手し得た。名古屋・滋賀での事業所を運営している関係者を招聘して研究会を開催した。既存の制度を活用した社会的企業形成の基盤作りとその法制化の現状について明らかにした。それらは障害者制度改革推進会議の議論に反映される。 また、中国において開催された障害者国際会議で研究発表するとともに、韓国の研究者や実務家からのヒアリングを実施。 3)研究環境の整備:邦文文献の収集を行った、欧文資料に関しては、EU等の国際機関やフランス政府および関係団体の資料を入手した。 なお、現時点で調査や研究会の取りまとめを行っている段階であり、研究成果を今後発表して行く。
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