研究概要 |
【研究目的】 第3次救急医療施設に搬送される患者家族は、突発的な事故や災害、疾患の急激な発症・増悪などにより、近親者の生命の危機に突然対面することになる。近親者との死別後、時に遺族に悲嘆反応として、うつ症状や心身の症状が出現する。 救急医療スタッフは、年齢、疾患・事故原因、社会的背景等がまったく異なり、患者本人の背景がほとんど分からない状態で終末期ケアを実践していく必要がある。そのための具体的な実践モデルの構築が、必要である。本研究は、救急医療施設における家族・遺族支援のためのソーシャルワーク実践モデル構築を目指している。 【2011年度研究実績】 2003年8月1日から2011年5月20日までの間に、A救命救急センターに搬入され、同センターで亡くなった人のうち、自死(自殺)で亡くなった人の実態調査およびニーズ調査を実施した。 同センター内で死亡した人の中で、傷病名で自死かどうか判別できない人1,068名の診療記録を確認した。死亡原因が自死であると考えられる人は137名であった。 家族の目前で自死の行為に至ったケース7例(5%)、家族が第一発見者であったケースは39例(28%)で、母親の縊頸を4歳の子どもが見つけたという症例もあった。死亡した患者の年齢は、20歳代が最も多く28名(20%)、30歳代が24名(18%)で、最年少は14歳、最高齢は81歳であった。 ニーズ調査については、75名の家族に質問紙を送付(返送13通)し、4名の人にインタビュー調査を実施した。4年前の調査と比較検討し、実践モデルを検討した。 社会資源の連携方法等を検討するため、遺族のサポートグループおよびセルフヘルプグループについて会合を開催し、それぞれの課題等について確認した。 家族・遺族支援を一連の流れで考えるため、警察等との連携も検討した。 【実践モデルの構築】 救急医療施設における家族・遺族支援のためのソーシャルワーク実践モデルの作成し構築を目指した。
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