研究概要 |
前年度までの障害者雇用に関する国外調査結果を踏まえ,本年度は国内において企業の経営理念の一つであるダイバーシティがどのように展開されているのか,また,雇用への支援がどういった機関でどのように行われているのかの調査を行った。 1.特例子会社-1(東京) 以前訪問調査を行った,設立12年目の特例子会社において,現状調査を行った。当社の実雇用率は約65%(2012.1.1現在)と高く,かつ,着実に障害のある人の生活保障を実質的なものにしていた。九州圏と関東圏に支社を創設し,職域を拡大するとともに障害者の雇用機会を増やすことに努めている。 2.特例子会社-2(東京) 総合人材サービス業の特例子会社として設立された本社は,障害のある人と企業とをマッチングさせる紹介業を営むのと同時に,障害者雇用促進のための訓練を兼ねた雇用を行っている。マッチングは,知的障害者には対応していないという点に特徴があり,企業経営における障害者雇用の限界性を再認識するとともに,その責任の所在を改めて確認することができた。 3.国立職業リハビリテーションセンター(埼玉) 職業訓練部職域開発課において,当センターが果たす独立行政法人としての役割期待と実行,実際の訓練内容及び就業状況を調査した。地方公共団体レベルの就労支援との相違も明確に示された。 障害者雇用における割当雇用制度の有用性は高く,障害のある人の職業生活を実質的に保障することも可能である。現行の就労支援制度が有効に機能するには,制度間の矛盾が無いような工夫が必要となる。また,企業における障害の特性に合わせた仕事の創出という視点も有効な方途である。
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