本年度は、ステレオタイプ・偏見が間接測定できるようなプログラミングを構成したことを受けて、実験を実施した。パソコンゲームの形態をとって、実験参加者には、ゲーム時のBGMで、ポジティブ音楽かネガティブ音楽を流すことで気分誘導をした上で、8シーンを順次提示し、そのうち6シーンでは、アラブ系外国人に見える人物がいて、着席行動においてどのような外国人を回避するかを測定することで偏見的行動を測定した。その際、外国人は、日本に対してポジティブないしネガティブなイメージを発言(思考)しており、その影響を調べた。音楽の効果と発言の交互作用効果が見出されポジティブ気分において、より明確に発言の違いの効果が見られた。すなわち、ポジティブ気分時には、ネガティブな発言に対して回避的行動をとり、ポジティブな発言では相対的に回避行動が少なかった。ネガティブ気分時では、両者の違いは少ないものであった。 偏見的行動の抑制は一種の自己制御と言えるが、学会発表では、感情的な自己制御のあり方について検討した研究を発表した。また、これまでの感情研究の1つのまとめを、現代の認知心理学第6巻社会と感情のなかの章として執筆を行い、6月に刊行された。ステレオタイプの実験の成果は、2011年度の日本社会心理学会第52回大会で発表される予定である。
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