研究課題
集団内協力行動の自己維持性について、第3者の果たす役割を調べるために以下の3つの研究を行った。(1)評判情報の処理と選択についての認知行動実験。評判情報への注目度を日米で比較したところ、米国人は短期的評判情報に対する注目度が高いのに対し、日本人は長期的情報により注目し続けることがわかった。この結果は、論文にまとめ学術誌に投稿する予定である。(2)協力・非協力行動とサンクショニング行動にたいする評価プロセスのfMRI実験。これまでの成果を英文論文として発表した。この成果は、罰を受けるに足る行動をしたものに対する評価と、協力的行動をしたものに対する評価では、脳のACC,PFCの賦活度合いが異なることが明らかになったほか、いずれのケースでも「心の理論」のタスク遂行時と同じ部位が基本的に活性化することが分かった。しかしながら、サンクショニング行動に対する評価プロセスをfMRI実験のパラダイムに載せるには、さらなる実験手法の工夫が必要となるため、現在はいくつかのアイディアを試験的に実行している。(3)サンクショニングが自己維持的になるための条件をさぐる理論研究および行動実験。これまでの実験研究成果を英文学術誌に投稿したところ、実験参加者数および実験操作に改善を施した追実験を求められたため、現在その準備を進めている。またサンクショニングの自己維持的機能の鍵となるメカニズムを探るためのシミュレーション研究を始めており、これに関しては一定の成果を得て、現在論文を作成中である。具体的には、個人的な罰に比べて集合的な罰の方が、より自己維持的になりやすいが、集合的罰に参加しないものは、集団での裏切り者と同じ程度の罰を与える、という制度が導入されていない限り、この自己維持性は保証されないことが分かった。
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Psychopharmacology
巻: 220 ページ: 551-557
doi:10.1007/s00213-011-2509-8
Letters on Evolutionary Behavioral Science
巻: 2 ページ: 28-32
doi:10.5178/lebs.2011.16