研究概要 |
本研究の第一の目的は,対人援助職ワーク・ライフ・バランス(WLB)を推進する組織風土(WLB風土)の測定尺度を開発しバーンアウトに与える影響を検討することである。第二の目的は,WLB風土醸成によるバニンアウト予防・回復のためのプログラムを開発することである。 二年目となる22年度は第1の目的について,まず21年度に収集したデータを分析しWLB風土尺度を作成した.さらに5月と10月の2回看護師約50名が参加する研修,および8月に21年度とは異なる組織風土・WLB制度をもつ病院において質問紙調査を実施した.これらの調査は,WLB風土尺度の信頼性・妥当性を確認し,バーンアウトや他の変数との関連を検討するために実施したものである.8月の調査では配布数257名,有効回答203名であった.以上のデータより,WLB風土尺度は4下位尺度(「上司の支援」、「スタッフのチームワーク」、「ワーク最優先」,「ライフの尊重」)から構成され,「ワーク最優先」がバーンアウトの疲弊感に,「上司の支援」がシニシズムに,「スタッフのチームワーク」が職務効力感とそれぞれの関連が示され,特に「上司の支援」がシニシズムに与える影響力が大きいことが示唆された.ただし,一部信頼性が不十分な点がありさらなる検討の余地が残された. 第2の目的については,WLB風土醸成によるバーンアウト予防プログラムの試案を作成した.23年度に協力機関・者を募り実施する予定である. 22年度の成果は日本心理学会および経営行動科学学会において発表し,23年度すでに2件学会発表を申し込んでいる.
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