2010年度は3年間の助成期間の2年目として、当初の計画では年度の前半に測定尺度の確定を、年度の後半に親友同士のペアデータの収集をおこなう予定であった。しかし、2010年2月に実施したストレス体験とその開示に関連した肯定的および否定的相互作用の「有無」と「程度」に関する調査データの分析から、親しい友人によっておこなわれる否定的相互作用の測定に関してさらに工夫を要することが明らかとなり、そのための調査ならびに分析・発表に多くの時間を費やした。 具体的には、まず年度当初には前年度の調査データを分析し秋の学会発表に備え(9月上旬の健康心理学会および中旬の日本心理学会にて発表)、また5月末の感情心理学会にて気分尺度の検討結果を報告した(2011年1月刊行の川崎医療福祉学会誌に論文掲載)。同時期から6月末頃にかけて、否定的相互作用に関して橋本(2000)の対人ストレッサー研究から示唆を得て「望まない相互作用の生起」と「望む相互作用の非実現」の両面からの測定を試みる複数の調査を実施した。これらの結果を9月中旬の日本社会心理学会、11月の中国四国心理学会において発表した(2011年9月発刊予定の川崎医療福祉学会誌に掲載内定)。否定的相互作用の測定に関しておおむねめどがついたことから、2011年1~2月には、ペアデータの測定の最終準備段階として、特定の親友との二者関係におけるストレス体験の開示とその後の肯定的/否定的相互作用が気分状態ならびに自己概念の変化に及ぼす影響を検討するための調査を実施した(2大学、回答者計約270名)。 これらのデータ分析を2011年度冒頭におこない、その結果を受けて、本研究の最終目的であるペアデータからみた友人関係におけるストレス体験開示後の相互作用が及ぼす心理的影響について検討を進める予定である。
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