伝統的人間関係については、前年度から調査対象としている三重県鳥羽市答志島答志地区を2度にわたり訪問し、人間関係の結び方・維持について聞き取り調査を実施した。今年度は、親密関係を結ぶ相手およびその交流において、自分自身には選択の余地がなく、個人的感情を超えて付き合っていくものだと受け止めている、という点が現代的あるいは近代的親密関係と大きな特徴となっていることをみいだした。 現代型人間関係については、今年度新たに無職者を対象にしたWEB調査を実施した。無職者は職場あるいは職を通じた交流が乏しいと考えられるが、実際見知らぬ他者とwebを介した交流をしている者が有職者に比べて多かった。また、実社会よりweb上の交流社会に、自分の重要な他者がいると答える傾向があるものの、そこでは不安を感じ、絆を確信し得ていないことが見いだされ、実社会での人間関係をwebを通じた交流で代替することはできないことが示唆された。 2つの研究を総合すると、交流相手を選択する自由が逆につきあいの不安を高めている可能性が考えられる。
|