目的:本研究では、教師による学級構造化方略という新たな観点から、学級において学業・社会を含む多面的動機づけを促すメカニズムについて検討する。学級構造化方略を、学級内に一定の構造や規範を形成するために教師が行う学業面および社会面に渡る指導行動の方略ととらえ、授業観察と質問紙調査という質・量両面のデータを組み合わせ、教師の学級構造化が、学業・社会を含む児童の適応過程に及ぼす影響について焦点を当てる。 平成21年度の研究では、従来の教育心理学的研究ではほとんど焦点が当てられなかった、教師の学級構造化方略の内容について、継時的な授業観察および学級構造化に関する教師インタビューを実施し、学級構造化のために教師はどのような働きかけを行っているかについて検討を行った。 方法:大阪府1市内の公立小学校の2年と4年の各1クラスを対象に、特別活動および通常授業において、学級づくりに関わるトピックを扱った授業数回の観察と、学年団による学級づくりのインタビューを実施した。また児童に対して社会的・学業的適応を測定する尺度を1学期および3学期の末に実施した。 結果:授業観察記録の検討、および教師へのインタビュー内容の文字起こしを行い、その結果を質的に分析した。学級適応尺度については、量的な分析を行った。質・量のデータを組み合わせ検討した結果、教師の学級構造化の内容によって、児童の適応過程に違いがみられることが示唆された。
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