研究概要 |
目的:これまでの動機づけ研究では、学習に直接かかわる要因、例えば教師による教授方法や、教材の内容、学び方などが、子どもの学習意欲を説明すると考えてきた。一方、実際の教室環境では、子どもは教師-生徒の人間関係や学級風土などの社会的な要因によってさまざまな影響を受けており、社会的環境や文脈の影響を考慮せずに学習意欲について考えることは非現実申であるといえる(eg. 中谷, 2007; Wentzel, & Wigfeld, 2009) 特に教師の学級構造化への方略は、子どものもつ学習および社会的な動機づけに深く影響しているといえる。本研究では、教師による学級構造化方略という新たな観点から、学級において学業・社会を含む多面的動機づけを促すメカニズムについて検討する。平成23年度の研究では、学級構造化について、学級の目標構造という観点から概念化した達成目標理論(Elliot & Dweck,2006)に基づいて、わが国の教室場面に適用可能な尺度の検討および子どもの動機づけへの影響過程を検討する。加えて、中学生における自己概念をクラス構造と動機づけを結ぶ媒介要因ととらえ、自己価値の随伴性の点から検討を行った。 方法:公立中学校1~3年生を対象として、学級の目標構造に関する質問紙を作成、実施した。あわせて、自己価値の随伴性(大谷・中谷,2010)による尺度、社会的目標(中谷,2007)を実施した。 結果:学級の目標構造化の観点から、教室によって、熟達あるいは遂行という学級の目標構造化が異なる傾向が示された。また学級の目標構造は、子どもの学習過程および多面的目標に影響を与えている可能性が示唆された。 関連事項:平成23年度分を含む研究成果について、下記の文献や学会等において成果発表を行った。
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