研究概要 |
学齢期検診を受診した平均学齢8.85歳の超低出生体重児181名を対照として軽度発達障害と行動指標の関連を調べた。出生体重は平均795±217g、在胎期間は平均26.7±2.4週。入院期間は平均126±51日であった。象児181名中、自閉症スペクトラム(ASD)が26名(14.4%),LDが30名(16.6%)、境界知能(BL)が19名(10.5%)、MRが20名(11.0%)、BLとMRを合わせた精神遅滞(MD)が39名(21.5%))、定型発達(TD)が86名(47.5%)であった。行動問題の14尺度のT得点を4グループで比較すると、いずれについてもASDが最も高い値を示し、次いでLDが比較的高い値を示した。CPRS-RのT得点を用いて産判別分析を行ったところ、9尺度で0.40以上の負荷量を示した敵の成変量1(多動性・種動性・不安・社会問題・完壁主義・反抗)に関して、ASD児は、他の3グループから分離して聞くしの方向に分布し、LD児とMD児は合成変量2(認知問題・不注意)に関して、やや正の方向に分布した。行動問題の全体的レベルが高いのがASDの特徴であった.さらに,予後に関わる遺伝要因と環境要因の影響を分析するために,一卵性双胎(MZ)が最も高い相関を示し,動作性IQと全領域IQの遺伝率が高かった(0.81, 0.85)。PRSの結果,言語性領域は,DZの相関係数が高く,共有環境の寄与率が高かった.ASSQではMZの相関は高かった(0.83)が,単胎のきょうだい間にも有意な正の相関(0.72)が見られ,遺伝率より共有環境の寄与率が高かった.母親によるADHD-RSの評定では,ADHDの中核症状に関して,MZ,DZ,単胎のいずれも有意有正の相関を示し遺伝とともに環境の寄与率が高かった.超低出生体重児の軽度発達障害には環境因子による影響が大きいことが分かった 成果の一部は,5月の国際学会で発表し,国内の学会で6演題,国際ワークショップで1演題発表した.3月末の国内学会でも4演題発表の予定である
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