研究概要 |
1.日本語、英語、標準中国語、広東語の言語発達の共通性と差異をマッカーサー乳幼児言語発達質問紙(CDIs)の各言語版の標準化データにより明らかにすることを中国語版開発者のTardif,T.を招聘して検討した。各言語版の身振り、語彙、文法領域の日本語訳を作成した結果、中国語版は独自の構成で作成されているので、まず、英語版(米国版、英国版)との比較を行うこととした。米国版、英国版と日本語版のitemの意味的に近似させた共通項目の表を作成し、共通項目で語彙、身振りについて比較を行うこととした。 2.言語発達の個人差を考慮したモデルを提案することを日本語版JCDIsの標準化データから検討した。各%Rankの推定回帰直線の折れ点は、同一ではなく、各%Rank回帰直線ごとに可変することを許されているという「等分散変曲点可変モデル」を提案し、その問題点を検討し、アルゴリズムの作成を開始した。 3.言語発達の個人差の要因として子ども側の認知能力、気質、養育者の働きかけを仮定して、課題、質問紙の作成を行い、9ヶ月、12ヶ月、18ヶ月児に対してpilot研究を行った。 4.言語発達の個人差の要因として養育者と子どもの共同注視と養育者の言語・非言語の働きかけを14,17,21ヶ月児の観察時点と追跡時点24ヶ月、33ヶ月のJCDIsのすでに収集済みデータから分析した。母子共同注意の量的な時間や頻度よりも母親の発話内容が観察時点や追跡時点の総表出語数と正の相関があった。動作だけでの働きかけは語彙数と負の相関があり、母親の言葉かけが語彙発達には重要であることが明らかとなった。母子共同注視が語彙発達に関係するかどうか平成22年度に9,12ヶ月データから明らかにすることが課題である。
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