研究概要 |
1.JCDIs標準化データの20,50,80パーセンタイル値より言語発達の変曲点のモデル化を回帰分析により行った結果,文法発達データに2点折れモデルを適用できた。第一折れ点の月齢は男児が女児より2ヶ月遅れていた。また,発芽時期,飽和時期のばらつきを示す幅から男児の方が女児より個人差が大であることが示された。 2.語彙発達に関与するカテゴリ化能力を9,12,18ヶ月児計119名の遂次触課題から明らかにした。12ヶ月児でカテゴリ化能力と語彙発達の関係が最も顕著にみられた。基礎カテゴリの車のカテゴリ化と乗り物理解語数ブーブー,くるまの語の得点との相関が高く,特定の語彙と特定のカテゴリ化の関係が示された。また,動物カテゴリ化の形成は語彙表出全体の能力と関連していた。 3.言語発達の認知的基盤を9,12,18ヶ月児計117名から明らかにした。理解と表出にかかわる認知能力は子どもの月齢で異なっていた。文脈の手がかりを利用できる指示理解には,9ヶ月模倣,12ヶ月手段-目的,事物の永続性が関係し,12ヶ月語彙理解には事物永続性,バイバイ身振りが,18ヶ月語彙理解には指さし理解の社会的認知面が,18ヶ月語彙表出にはバイバイ身振りが関係していた。また,「ない」の特定の語と包み込みの得点に関係があり,Gopnik&Meltzoff(1997)のSpecificity hypothesisを支持していた。 4.言語発達に関与する母親の発話を12,18,21ヶ月児計66名から明らかにした。12ヶ月では子どもの注意・活動にそった(follow)情報請求と語彙理解の間に正の相関が,子どもの注意・括動に添わない(lead)の呼びかけと語彙理解,語彙表出との間に負の相関が,18ヶ月ではfollowの情報請求と語彙表出の間に正の相関が,21ヶ月ではfollow指示・命令や対人調整と文法測度の間で正の相関があった。
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