研究概要 |
本研究の目的は,学校現場で実践可能な対話型学習形態と教師の対話指導方法に関する対話型授業デザインを開発することである。こうした目的のもと,21年度の研究として提案した対話型学習形態は,児童自らが対話のなかで出された意見相互の関係づけを行う,という意見の構造化学習であった。また,教師の対話指導方法としては,従来のように児童の対話活動中は教師が傍観するだけという消極的な指導ではなく,教師が積極的に児童の対話のなかに入って,関与を強めるという指導的参加法を提案した。21年度は,研究協力者である小学校教師とともにこの学習形態の検証授業を実施し,その分析を行った。 分析のなかでは,この学習形態での児童の対話活動の実相,およびこの学習形態がもつ児童の認知活動への有効性を確認した。さらに本研究で提案した教師の指導方法が実践へ活用可能であることが証明された。 この学習形態は,本研究で提案している,対話をとおした児童の認知的力量の育成仮説に基づくものであり,従来の学校現場での授業実践にはなかった斬新な方法である。そしてこの学習形態は,本研究での検証授業による分析の後,鹿児島大学教育学部附属小学校における研究授業の場で一般公立小学校の教師に公開され,その普及を目指す活動が実施された。また本研究で提案された指導方法は,研究代表者が指導助言を勤めた公立小学校での研究授業のなかでも取り入れられた。 以上のように21年度の研究成果は,学術論文としての発表のみならず,学校現場のなかに実際に導入され,生かされている点に価値があると言えよう。
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