研究概要 |
本研究では,メタ認知,特にモニタリングの意識的な成分と自動的な成分を分離するための潜在的誤答検出パラダイムを開発し,その有効性を検討する。いいかえると,本研究の目的は,潜在的誤答検出パラダイムを用いて,モニタリングの自動的成分と意識的成分の分離が可能であるかどうかを検討することであった。しかしながら,昨年度の実験から,誤答検出パラダイムにおいて,意識的成分と自動的成分を有効に分離する適切な条件が見つからなかったので,本年度は,まず自動的にメタ認知モニタリングが活性化するかどうかについての実験を行った。具体的には,視覚探索パラダイムを用いて,実験刺激セットに含まれる手がかりを操作し,それに潜在的に気づくかどうかについて検討した。その結果,課題遂行を自動的に行っている参加者だけだが,刺激セットの変化に気づいている可能性が示唆された。ただ,本年度の実験では,被験者数が不十分なため,この知見が十分に実証されたとはいえず,さらに実験が必要である。 このような限定があるうえで,本年度の知見の意義を考察すると,(1)メタ認知モニタリングには,自動的に駆動される処理過程が含まれている可能性が高い,そして,(2)このメタ認知的モニタリングの自動的成分の駆動は,認知処理自体の遂行の自動性によって規定されている可能性が高い。すなわち,認知処理が自動的になされている場合にだけ,メタ認知モニタリングも自動的に駆動される可能性があるといえる。
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