本研究の目的は,高齢期における人生マネイジメント方略が高齢者夫婦の精神的健康にどのような影響をもたらしているのかを明らかにすることである。2011年に地域に居住する高齢者夫婦1500組に初回調査,2013年に3年後の追跡調査を行った。初回調査に回答した498組の夫婦のデータを解析した結果,「否定的なイベントを受容できる柔軟な態度」が夫と妻それぞれの幸福感にとって重要であることが明らかになった。また,夫の「否定的なイベントを受容したり,老化に伴う喪失を補償しようとする柔軟な態度」が妻の幸福感にとって重要であることが明らかになったが,妻のそのような態度は夫の幸福感に影響を及ぼさなかった。
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